2017/6/13

今日もまたSellarsの"Science, Perception, and Reality"を数パラグラフだけ読んでいたら、感覚を脳神経の働きに還元することと感覚対象を物理的な「見えない」原子などの集合体に還元することは同じ問題だという論点があって面白かった。前者は批判されて後者はすんなり受け入れられるというのはなかなか興味深い。おそらく感覚を超越した客観的対象とその表象という区別に基づいて、前者は物理的なもの、後者はそうではない「感覚質」を伴った何ものかだと考えられているのだろう。私はその分け方にずっと疑問を持っている。例えばショーペンハウアーはカント的な図式に従って物理的対象も私たちの表象だと言うし、ハイデガーの立場は物理的対象と表象をわけない「現れ」一元論である。このように一元的に考えるなら、対象を原子の集まりに還元することが可能ということは、感覚対象を物理的なものに還元することもまた可能だということを意味するのではないかと思う。