2017/5/13

デネットの"Sweet Dreams"を読んでいる。第1章は哲学的ゾンビの思考実験を生み出す「ゾンビ的直感」、第2章は"Consciousness Explained"でも登場していた「ヘテロ現象学」について考察が深められていた。"Consciousness Explained"を読んだ時はこのヘテロ現象学というものに対する違和感が拭えないでいたがその原因がだいたいわかった。そもそこのヘテロ現象学はセラーズのいうような「心理学的唯名論」に基づいているのだと思う。この前提があって初めて、テキストとして現れる意識活動を分析すれば意識の研究として十分であるというヘテロ現象学の主張が導かれる。反対に感覚与件やクオリアというものの実在に立脚していると、このヘテロ現象学では何かがとりこぼされているという感覚が消えないままとなる。デネットもその辺りを言えばいいのにネーゲルチャーマーズの主張の論駁に終始するものだからわかりにくくなっている気がする。