2017/8/7

発表も終わったのでのびのびと研究しようと思ってJames LadymanとDon Rossの"Every Thing Must Go"という本を読んでいる。とりあえずは「分析形而上学(analytic metaphysics)」というものが批判されているのだがそもそも分析形而上学がなんなのかよくわからないのでそのあたりに注意して読んでいた。どうやら分析形而上学は以下のような流れで登場してきたらしい。まず論理実証主義があって「感覚与件」によって知識を基礎付ける立場が登場する。しかしクワイン全体論的な思想でその発想は否定されてしまう。そうなると一つの経験的な基礎によって諸科学を統一することができないので、クーンが考えるような学問同士の共訳不可能性が生じてしまう。つまりはそれぞれの個別科学で考えられるような世界観を統一することができなくなるのである。だがしかしセラーズの言うように哲学の目的は日常的な世界観と科学の描く世界観を統一することだから、哲学者としてはそこで満足できない。それでも経験的な基礎を求めることはできないので、直観に従って形而上学をやるというのが分析形而上学ということらしい。ここでは今までの分析哲学のように科学を重視する姿勢は存在していない。これがいいのか悪いのかまだわからないので読み進めていきたいと思う。