2017/7/19

大学生協の本屋で文庫本を3冊以上買うと15%オフになるセールをやっていたので『正解するマド』『パイドン』『道徳の系譜』を買って『道徳の系譜』をちょろっと読んでいた。とりあえずショーペンハウアーの批判があって面白い。ニーチェ曰くショーペンハウアーは世界そのものである「意志」が「利己的である」という理由で、人間そのものを否定したという。個人的にショーペンハウアーが否定意志に至ったのは意志の作動が苦しみしか生まないからだと考えているが、なるほどそういう観点もありうる。なぜなら意志は生への衝動でありひたすら自己の生を追い求めていて、それを利己的と呼ぶことも可能だからだ。そして利己的なものを善と捉える道徳がすでにニーチェの攻撃対象なのだ。またニーチェは「良い」と「悪い」の起源について、「良い」は貴族階級が自分の行為を正当化して使った言葉が起源であると述べている。論証としての正しさがどうというよりなんとも力強い議論で読んでいて非常に楽しい。メタ倫理的な議論だがそれを権力に繋げるのはちょっと身も蓋もなさすぎて本当に良いと思う。