2017/7/13

今日もまたMooreの"External and Internal Relations"を要約している。後半の形式論理が出てくるあたりが初読ではちんぷんかんぷんだったのだが、二回目読んでみるとなんだかわかる気がする。特に肝となる証明の部分も、様相論理を使って表現し直してみると分かってきた。様相論理は最近受けていた論理学の講義で習得し直していたので講義には出るものだなあという気分になる。しかしそもそもの問題として、あるものの性質が変更されたときそれは別のものになるのだろうか。不可識別者同一の原理というのがあって、あらゆる性質が同じものは同じものだという主張である。これは必要十分条件なので、ある性質が異なっているものは別のものだと主張することができる。Mooreはどうやら不可識別者同一の原理には賛成しないようである。なぜならある種の性質を持たなくなってもあるものはそのものであり続けると考えているからだ。しかし私たちに認識できるものが性質のみだとするなら、その奥にある実体の同一性を語ることができるのだろうか。つまりは性質とは別の実体、例えばアリストテレスの第一質料みたいなものを考えることができるのかという問題である。個人的な意見としては個体というのはある種の性質の集まりに対してつけられる名前でしかないと考える。だからその名前の下に包摂される性質の集合は変更されうる。その変更によって個体名が変わるかどうかは認識上の問題なのではないだろうか。