2017/6/6

今日受けた講義と読んでいた"Sex and Death"で同時に「シンプソンのパラドックス」というものが登場したのでオオッとなった。簡単に言うと個々の部分では変数同士に正の相関があったとしても全体で見るとその変数同士に負の相関があったりすることを言う。"Sex and Death"ではこのパラドックス利他主義の進化についての議論に用いられていた。主に利己的な個体からなる集団と主に利他的な個体からなる集団があるとして、それぞれの内部では利己的な個体が勝利する。なぜなら利他的な個体群の中で「フリーライダー」となる利己的個体は丸儲けだからだ。しかしながら全個体の数で見ると利他的な個体がその数を増やしている、ということがあり得るのである。こうなると個体レベルでは利己的戦略が有利なように見えても個体群のレベルでは利他的戦略が適応的だということが可能となる。こういった利他的戦略の適応性の説明には例えばドーキンスの『利己的な遺伝子』では「繰り返し囚人ジレンマゲーム」というものが登場していたのでそれについては知っていたが、この「シンプソンのパラドックス」を用いた説明は新鮮だった。