2017/6/4

今日も"Sex and Death"を読んでいた。今日読んだ6章7章ではメンデル遺伝学を分子遺伝学に還元できるのかどうかという話題が扱われている。還元主義というものがかなり広い科学哲学的な視野から議論されていたので哲学的にも面白かった。特にそもそもなぜ還元する必要があるのかという点が興味深い。

But that is not to deny the significance of individual, close-grained actual sequence explanations. Moreover, a sense of reduction is involved here too: the ban on miracles.(Kim Sterelny, Paul E. Griffiths "Sex and Death: An Introduction to Philosophy of Biology" p141)

スケールの大きい事象をより詳細な、例えば物理学的な観点からを説明することで、そこに非物理的な奇跡といったものを想定することを防ぐことができる。このことによってスケールの異なった理論同士の間で交通関係が成立し、それらの共存が可能となっている。心身二元論に対する物理主義はメンタリスティックな語彙を物理的な用語に還元することだが、そのことによって心を物理学を超越して奇跡的なものと考える誤りを避けることができる。ただし心理的な語彙をすべて消去してしまうかどうかについては議論が分かれる。消去的物理主義という立場にあるのは私の知る限りではクワインチャーチランドで、デネットは反対に非消去的な物理主義をとるだろう。