2017/5/22

デネットの"Sweet Dreams"を読んでいたら意識の「名声」モデルと言うものが登場した。主に脳内のデーモンたちの間の競合という観点から述べられていたが、これを意識の内容という点から見ればハイデガー的な「開示性」とリンクするモデルだと思う。意識にのぼっている対象は「開示」されるものであり、例えばキーボードを見ながらタイピングしているときキーボードが「名声」を得て意識にのぼる。先立って現れてくるものは主観と客観の二項関係よりまずこのキーボードの「現れ」であり、主観/客観というものはそのあとで仮構されたものに過ぎない。"Sweet Dreams"にはこのモデルでは「主観」というものがどこにあるのかという反論があると書かれているが、ハイデガーの論を考えると開示性/名声そのものが現存在であり意識対象と意識主体が不可分なのである。だからこの名声モデルから独立な主観というものを考える必要はない。