2017/4/15

アナログな外界の情報をデジタル化して情報量を減らすことで、先までの予測が可能となる。予想の精度と射程はトレードオフの関係にあるからだ。このデジタル化が他者に対して適用される時、"intentional stance"を見出すこととして機能するようである。

By oversimplifying and idealizing actual transactions in the world, they turn messy human activity into a somewhat predictable, somewhat explicable set of phenomena, and they work quite well for many purposes.(Dennett, Daniel C. From Bacteria to Bach and Back: The Evolution of Minds (p.307). Penguin Books Ltd. Kindle 版. )

このように"intentional stance"を見出すことは人間の行動に理由を見出すことと繋がっている。その理由は時に過度に見出され、いわゆる純粋理性の構成的使用だとか、呪術的思考だとか言われるものとなる。さらに言えば第一部での、リバースエンジニアリングで理由とかデザインを発見するという議論から来ているのだろう。

12章ではインテリジェントデザイン(もちろん人間による)というものが話題になった。これは"competence without comprehension"と厳密に区別することのできないもので、自然界のデザインから単に複雑さが上がっただけのものとも言える。このように複雑なデザインは人間が自身の思考を"manifest image"に含むようになり、思考自身をR&Dの対象とし始めると可能となる。インテリジェントデザインミームの複製の中で生まれるのだが、そのオーサーシップはいかにして人間に帰されるのだろうか。デネットの答えはR&Dプロセスの貢献度、つまりデザイン空間内での移動にどれだけ寄与したかということによってその作者が決まるというものだ。脳内でのR&Dプロセスもその脳内でミーム複製して(想起)進化させていくことに他ならない。だからミームによる文化進化と人間によるデザインに厳密な区別をすることはできないのである。

以上で"From Bacteria to Bach and Back"の第二部は一応読み終えたということにする。次は最終の第3部で意識の話となる。"Consciousness Explained"からどのように変化しているかに注目したい。