2017/3/28

今日もデネットの"From Bacteria to Bach"を読んでいる。今日読んだところではクロード・シャノン情報理論などが引き合いに出されながら、情報というものが論じられていた。デネットは構文論的な情報、すなわち脳神経の興奮パターンと表象などの意味論的な情報はそれぞれ独立に考えているようだ。意味論的な情報は複数の構文論的なコードによって実現できる。これは「多重実現」と呼ばれるもので、還元主義の批判に使われる考え方である。

Semantic information, the concept of information that we must start with, is remarkably independent of encodings, in the following sense: two or more observers can acquire the same semantic information from encounters that share no channel.(Dennett.D From Bacteria to Bach and Back: The Evolution of Minds 2017)

ただしデネットは還元主義を擁護する立場にある。彼は「良い還元主義」と「悪い還元主義」があると主張していて、消去的な還元を否定する。多重実現においても「トークン」の対応という形で、説明力の増えない一対一の還元は可能である。このような視点では意味論的な情報が消去的に還元されることはない。多重実点を認めながらのこのような還元は「良い還元主義」だということになるのだと思う。