2017/6/1

一周回って哲学をすることは人生にとって有用なのではないかという気持ちになっている。ある程度様々な哲学思想に触れておくと、新しい思想が侵入に入ってきた時それを相対化して考えることができる。思想は危険だ。思想は初め意識的思考に作用するだけだが…

2017/5/31

ショーペンハウアーは自殺には二種類あるという。一つは欲望に従った自殺で、もう一つは欲望がすべて消えた結果としての自殺である。前者は例えば苦しい状況から逃れるための自殺で、後者は例えば即身成仏がそれに当たる。ショーペンハウアーは欲望は無限に…

2017/5/30

昨晩はスカイプ越しにクオリアがなぜ存在すると言えないのかを説明していたら4時になっていた。デネットが"Sweet Dreams"で述べていたことを簡単に言うと以下のようになる。例えばある写真を見ていてその一部が気づかないうちに変化しているとする。その時…

2017/5/29

「私」は魂ではなく脳が紡ぎ出す物語の主語である。デネットはこのような「物語的重力の中心」としての自己という思想を『解明される意識』という本で述べていた。今期放送している「Re:CREATORS」というアニメでは物語の登場人物、「被造物」が作者たちの世…

2017/5/26

「人間とは何か」という問いを最近忘れていた気がする。高校生くらいの頃はよく考えていて、生物種としての人間は遺伝的情報によって定義されると思っていた。デネットは"Darwin's Dangerous Idea"でダーウィニズムは生物種がその種の「本質」によって定義さ…

2017/5/25

デネットの"Sweet Dreams"を読み終わった。最後の方の章では意識の「名声」モデルに追加して「反響」というモデルがクローズアップされる。意識は単に現れたものの名声によって構成されるのではなく、それら現れが反響することによって構成される。これは具…

2017/5/24

大学院の講義でクワインの話があったので聞いていたら気づいたことがあった。道徳の実在論/反実在論の論争に卒業論文で触れたのだが、どうして還元主義的な説明が道徳反実在論につながるのか、さらに言えば道徳を還元しないならなぜ実在論をとることになるの…

2017/5/23

セラーズの"Science, Perception, and Reality"というか"Philosophy and the Scientific Image of Man"を読んでいると原始的な世界観"original image"が洗練されていって"manifest image"が形成されるという話が出てくる。"original image"においては自然界…

2017/5/22

デネットの"Sweet Dreams"を読んでいたら意識の「名声」モデルと言うものが登場した。主に脳内のデーモンたちの間の競合という観点から述べられていたが、これを意識の内容という点から見ればハイデガー的な「開示性」とリンクするモデルだと思う。意識にの…

2017/5/21

出席しているカントの純粋理性批判を読む演習で前回の講義まとめを作る担当が回ってきたので書いていた。90分の講義の全体を網羅しようとすると3000字くらいになって結構タイヘンである。まあそれはいいとして、そのまとめに新しく因果系列を始めることので…

2017/5/20

『聲の形』のブルーレイが届いたので見ていた。今回気づいたこととして、振動としての音が作中で割と意識的に使われているという点がある。例えば高校生になった将也が硝子に初めて会いに行くシーンでは手すりに触れた時に伝わる振動で硝子が将也の存在に気…

2017/5/18

"Sweet Dreams"を読んでいたら「メアリーの部屋」と「スワンプマン」の思考実験を組み合わせた「スワンプメアリー」というコンボ技が出てきて大笑いしてしまった。色を見ることについての物理的情報をすべて持っているが白黒のものしか見たことのないメアリ…

2017/5/17

最近以下のようなことを少し考えている。表象、クオリア、感覚与件などの非言語的な心的対象が存在するなら、それに対して非言語的な「私」があるということになる。デネットは「私」は人間の振る舞いを物語的に捉えた時の主語だと述べているが、これは純粋…

2017/5/16

昨日の話の続きだがセラーズの"Science, Perception, and Reality"をちらっと読むと以下のようなことが書いてある。 Let me refer to these two perspectives, respectively, as the manifest and the scientific images of man-in-the-world. And let me ex…

2017/5/15

デネットの"Sweet Dreams"を読んでいたら以下のような文章に出会った。 One of the themes about qualia that is often presupposed but seldom carefully discussed was memorably made explicit for me by Wilfrid Sellars, over a fine bottle of Chamber…

2017/5/14

デネットは"scientific image"と"manifest image"の仲立ちをすることが哲学の仕事だと考えているようだ。その中で具体的には"physical stance"と"design stance"をつなぐのが進化論、"design stance"と"intensional stance"をつなぐのが物理主義なのではない…

2017/5/13

デネットの"Sweet Dreams"を読んでいる。第1章は哲学的ゾンビの思考実験を生み出す「ゾンビ的直感」、第2章は"Consciousness Explained"でも登場していた「ヘテロ現象学」について考察が深められていた。"Consciousness Explained"を読んだ時はこのヘテロ…

2017/5/12

少し前から気になっていることとして"manifest image"と"scientific image"をいかに区別するのかという問題がある。確かに明らかにどちらかに属しているとしか思えない言明は存在しているが、同時にどちらとも言えなさそうなものもある。例えば重力と言った…

2017/5/11

"Content and Consciousness Revisited"というデネットに関する論文集を読んだり読まなかったりしている。Felipe De Brigardの"What Was I Thinking? Dennett’s Content and Consciousness and the Reality of Propositional Attitudes"を読んでいて、「民間…

2017/5/10

長谷敏司の『BEATLESS』を人に勧めて感想を尋ねるという悪趣味なことをやっている。ラストシーンでは今まで知っていたレイシアと連続性がないことが明らかな、「カタチ」だけ同じな新しい機体に対して以前と同じ感情を持てるかということが問われている。主…

2017/5/9

昨晩から頭が痛かったりする上に准教授が体調不良で休講になったりするので本日はお休みということにして午前中は延々寝たり、そのあとは延々アニメを見たりしていた。アニメを見てその感想をインターネットで検索するとアニメキャラクターに嫉妬していると…

2017/5/8

ようやく"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"を読み終えた。最終章では機械学習、そして将来見つかる(と筆者は信じている)Master Algorithmによってどう社会が変わっていくか、そこで何をすべ…

2017/5/6

"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"の第9章を読んだ。これまで登場した機械学習の手法が最適化手法、評価、表現(?)という三つの観点から整理されてそれらの統一が試みられている。問題とな…

2017/5/5

昨日と今日で"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"の第7章と8章を読んでいる。7章ではアナロジーによる学習(サポートベクターマシンとか)、8章では強化学習について解説されていた。この辺…

2017/5/3

"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"の第6章を読んだ。ベイズ推定を用いたあれこれが紹介されている。ベイズ推定はデネットが言及していたがよくわからなかったので読みたい部分であった。ベイ…

2017/5/2

早稲田大学が実学を重視するという方針を打ち出したか何かの記事で「アカデミックな教育課程に偏りがちな大学を変革し、産業界が求める「即戦力」となる人材を育てるのが狙い。」という文を読んでなかなか名文だと思った。このような「実学」を「虚学」とい…

2017/5/1

今日は"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"の第5章を読んだ。この章では遺伝的アルゴリズムを使った機械学習について解説されている。ボールドウィン効果が適応度の勾配を緩やかにすると言った…

2017/4/30

今日は"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"の第4章を読んだ。コネクショニズム、つまりニューラルネットによる機械学習の歴史が概説されている。あまり細部には興味がないけどディープラーニン…

2017/4/29

"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"の第3章を読んだ。ヒュームの帰納法批判の上で帰納的な「学習」を研究する意義とか、データを元に記号主義的な推論を形成する手法が書かれている。哲学をや…

2017/4/28

"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"の第2章を読んだ。"The Master Algorithm"が実現するかどうかにはあまり哲学的な興味はないが、機械学習について"conceptual model"を作る必要があるという…

2017/4/27

デネットは"physical stance""design stance""intentional stance"という三つの説明レベルを考えている。そしてセラーズによるとそれぞれの説明言語の対象を実在物と扱っていいようだ。それなら"philosophical stance"というものを想定して形而上学的な対象…

2017/4/26

なぜ私たちの予想は当たるのだろう?ヒュームの懐疑論によって「これまでそうだったから次もそうなるだろう」という帰納的な予想はその根拠を失った。これまでそうだったからこれからそうなるという保証はどこにもないのに私たちはそのような形式の予想を行…

2017/4/25

デネットが"From Bacteria to Bach and Bach"で参照されていたPedro Domingosの "The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"を読んでいる。機械学習の導入本で様々なアプローチが紹介されているようだ…

2017/4/24

セラーズ『経験論と心の哲学』を読み終わった。ロバート・ブランダムのコメンタリーを読み終えてこの本もようやく終わりかと思ったら訳者によるコメンタリーが始まったのでびっくりしたが、ブランダムのコメンタリーよりわかりやすかったので許した。訳者に…

2017/4/23

セラーズ『経験論と心の哲学』のコメンタリーを読んでいる。デカルトが主張するような感覚の直接性、つまり「〜と見える」という文が誤ることが無いという性質についての解説が面白かった。残念ながら本編を読んでいても理解できなかったがコメンタリーを読…

2017/4/22

セラーズの『経験論と心の哲学』をコメンタリーを除いて読み終わった。特に面白かったのが「所与の神話」を破壊するための神話と筆者が呼んでいる部分で、そこでは内的思考や感覚が観察可能な行動をモデル化したものと考えられる。まず第一に存在するのは他…

2017/4/21

研究室でフッサールがどこに実在性を認めていたかの話をしていて、そういえばデネットは実在や実体というものをどう考えているのか気になった。"From Bacteria to Bach and Back"での記述によると"manifest image"という世界像上に現れてくるものが"ontology…

2017/4/20

デネットがセラーズの"manifest image"という用語を連発するのでどんなもんかいなと研究室にあったセラーズの『経験論と心の哲学』を読んでいる。今のところよくわからないがとにかく分析哲学だなあという感じがする。聞きかじった知識によるとこの本は「赤…

2017/4/19

デネットの"From Bacteria to Bach and Back"を読み終わった。過去の著作の内容を"manifest image"、パターン認識によるデジタル化、人間によるインテリジェント・デザインといった新しい用語で再構成しながら、機械学習などの最近のトピックも論じるという…

2017/4/18

機械学習に基づいたGoogle翻訳は文を「理解」しているのだろうか。私たちは言葉の意味をアフォーダンス環境内で「有意味なもの」として身につけるが、AIが持つ語彙は事物と結びつけられないただの記号でしかないのではないか。しかしデネットの見解は異なる…

2017/4/17

"From Bacteria to Bach and Back"の最終章"The Age of Post-Intelligent Design"を読んでいる。"The Age of Post-Intelligent Design"というのは、その動作の内容をすべて「理解」することのできないボトムアップ式のデザインを活用していく時代のことであ…

2017/4/16

"From Bacteria to Bach and Back"第14章"Consciousness as an Evolved User-Illusion"を読んだ。概ね"Consciousness Explained"と同じ論旨だが説明の仕方がアップデートされているので面白い。特に興味深かったのが、自己の状態をコミュニケートするために…

2017/4/15

アナログな外界の情報をデジタル化して情報量を減らすことで、先までの予測が可能となる。予想の精度と射程はトレードオフの関係にあるからだ。このデジタル化が他者に対して適用される時、"intentional stance"を見出すこととして機能するようである。 By o…

2017/4/14

研究室の新歓飲み会で呑んだくれて諸頭痛の列がやってきたので早く寝たい。しかしちょっと書いておきたいことがある。今年から赴任された准教授氏にアメリカでのデネットの立ち位置やデネットで論文を書くことについて聞く機会があった。曰く、アメリカにお…

2017/4/13

"From Bacteria to Bach and Back"の今日読んだ部分ではミームと意識の関係が論じられていた。「裸の脳」では意識的な思考ができず、OSに相当するミームに感染して初めて可能となる。 You can’t do much thinking with your bare brain, but armed with thes…

2017/4/12

"From Bacteria to Bach and Back"の今日か昨日に読んだ部分では"intentional stance"を見出すことが「心の理論(theory of mind)」を持つことだと語られていて理解が深まった。ただしデネットは心の理論という用語はあまり良くないと考えているようである…

2017/4/11

ミームがデジタル化という認識のプロセスを経て存在するのなら、それは"competence without comprehension"による文化の進化を成り立たせることにはならないのではないか。しかしパターン認識は対象を理解することを必要とはしない。つまり先の文での認識が…

2017/4/9

"From Bacteria to Bach and Back"の今日読んだ部分ではミーム論への様々な批判を確認した上でそれへの返答が述べられたいた。その中でミーム論はラマルク主義なのではないかという批判があった。遺伝子のエピジェネティクス的な意味ではその批判は的外れな…

2017/4/8

今日はひたすら研究計画書を書いていた。2000字程度と書かれていたので2000字書こうとしたらかなり大変で、結局1日かかってしまった。研究の目的というものを考えるけど、哲学の目的というものが論文一本で達成されるものなのだろうか。これは単に自分が大…

2017/4/7

世界は本来はアナログなものであり、言葉はそれをデジタルに切り取ってしまうらしい。言葉の対象は物体そのものとは限らず、言葉自身もその対象に含まれる。そうすると、アナログ的な差異を切り捨ててできた言葉をさらにデジタル化することになる。デジタル…