2017/6/27

研究発表のためにいろいろ書いていたら、なぜか世界そのものの認識というところが問題となってきた。例えば個別の対象の認識の総和として世界が考えられるかどうかは一つの問題である。ひとつのシステムを理解するためにはその構成要素を個別に理解するだけ…

2017/6/26

デネットの「会話ストッパー」としての道徳という考え方が気になっている。"Darwin's Dangerous Idea"では以下のように述べられている。 Now, how shall we avert a cacophony of colleagues? We need some conversation-stoppers. In addition to our timel…

2017/6/25

ケン・リュウの『母の記憶に』に収録されている「パーフェクト・マッチ」という短編が面白かった。生活を支援するAI(「ティリー」)による支配に争うという形式のよくあるディストピアSFだがティリーが機械学習を用いていたりして最近の感じになっている。…

2017/6/22

デネットの"Real Patterns"の残っていた部分を読み終わった。パターンを全て物理的に説明するのではなく"intentional stance"を採用する理由やフォーダーやチャーチランドの立場を取らない理由が述べられている。特に確認したかったのが"intentional stance"…

2017/6/21

デネットの"Real Patterns"という論文を読んでいる。パターン認識という形で三つの"stance"を見出すこととそのパターンの実在性が議論されている。ライフゲームの例は様々なところで登場していたが、物理、デザイン、志向性という三つの"stance"をスケールに…

2017/6/20

セラーズの"Philosophy and Scientific Image of Man"をなんとか読み終わった。最終セクションの"Putting Man into the Scientific Image"が全然わからない。もうちょっと全編通して一貫して読んでみる必要があると思う。 It follows that to recognize a fe…

2017/6/19

"Sex and Death"を最終章まで読み終わった。最終章では"universal biology"つまりは「生命」とは何かという問題が扱われている。特にコンピューター上でシミュレートされる人工生命の話が面白かった。「強いAI」の話題と同じように「強い人工生命」の擁護者…

2017/6/17

今日は"Sex and Death"の13章を読んだ。ここでは社会生物学や進化心理学といった、ダーウィニズムの応用的な話題が扱われている。行動主義心理学において自然選択を考えると振る舞いのレベルでの進化に焦点が当たる。しかし選択される振る舞いを同定するのは…

2017/6/16

今日もまた"Sex and Death"を呼んでいた。12章はグールドの大量絶滅を例とした進化のプロセスは適応より偶然によるものだという主張が検討されていた。適応主義者が進化をすべて必然のプロセスであると考えているわけではないことは明白であり、いわゆる藁人…

2017/6/14

"Sex and Death"の今日読んだ第11章では生態学と進化論の関係が「ニッチ」という観点から考察されていた。結局のところニッチというものはある生物の生存や繁栄に関わる様々な次元からなる空間上に設定されるもので、生物から独立の抽象的なニッチが存在する…

2017/6/13

今日もまたSellarsの"Science, Perception, and Reality"を数パラグラフだけ読んでいたら、感覚を脳神経の働きに還元することと感覚対象を物理的な「見えない」原子などの集合体に還元することは同じ問題だという論点があって面白かった。前者は批判されて後…

2017/6/12

Sellarsの"Science, Perception, and Reality"をチラチラっと読んでいたら面白い一節を見つけた。 It is no accident that when a novelist wishes to represent what is going on in the mind of a person, he does so by “quoting” the person’s thoughts …

2017/6/11

今日も"Sex and Death"を読んでいて、第10章ではいわゆる"adaptationism"と呼ばれる立場の是非が検討されていた。Godfrey-Smithによると"adaptationism"には"empirical adaptationism""explanatory adaptationism""methodological adaptationism"の三種類が…

2017/6/10

今日も"sex and Death"を読んでいたがグールドによる"adaptationism"批判というのがメインテーマだったのであまり書きたいことはない。ところで最近Netflixに加入して「リトルウィッチアカデミア」を見ている。まだ最後まで放送されていないので確定的なこと…

2017/6/9

今日は"Sex and Death"の第9章まで読み終わった。第9章では種のレベルでの選択についての議論が扱われている。ドーキンスに感化されて進化論を学び始めてそこからデネットに行った人間としてはあまり群淘汰とか種淘汰に同意する気持ちはなかった。個体のレベ…

2017/6/8

今日も"Sex and Death"を読んでいたら「種」の定義が話題になっていた。デネットはダーウィニズムを"essentialism"の否定だといって生物に内在的な「種族」という属性がついているという考え方を否定していた。"Sex and Death"でもこの筋の主張は認めつつ、…

2017/6/6

今日受けた講義と読んでいた"Sex and Death"で同時に「シンプソンのパラドックス」というものが登場したのでオオッとなった。簡単に言うと個々の部分では変数同士に正の相関があったとしても全体で見るとその変数同士に負の相関があったりすることを言う。"S…

2017/6/5

「超越」というのは一つのテクニカルタームなのだが、最近その意味がわかってきた気がする。哲学の文脈で超越したものというとき、それは何ものか、例えば認識の可能性の限界を超えているもののことを指す。その事について、ここ最近よく考えるのが言語を超…

2017/6/4

今日も"Sex and Death"を読んでいた。今日読んだ6章7章ではメンデル遺伝学を分子遺伝学に還元できるのかどうかという話題が扱われている。還元主義というものがかなり広い科学哲学的な視野から議論されていたので哲学的にも面白かった。特にそもそもなぜ還元…

2017/6/3

今日も"Sex and Death"を読んでいる。今日読んだ部分ではそもそも遺伝子とは何か、DNAだけが遺伝情報を伝達しているのかといった問題が扱われていた。まず前者について、複製の単位として遺伝子を定義するとその表現型との対応付けが難しくなり、反対に表現…

2017/6/2

准教授に勧められた"Sex and Death: An Introduction to Philosophy of Biology"という本を読んでいる。今日読んだ部分ではドーキンスのいう"延長された表現型"が話題となっていた。この話題を見るたびに思うが、人間について"延長された表現型"というときそ…

2017/6/1

一周回って哲学をすることは人生にとって有用なのではないかという気持ちになっている。ある程度様々な哲学思想に触れておくと、新しい思想が侵入に入ってきた時それを相対化して考えることができる。思想は危険だ。思想は初め意識的思考に作用するだけだが…

2017/5/31

ショーペンハウアーは自殺には二種類あるという。一つは欲望に従った自殺で、もう一つは欲望がすべて消えた結果としての自殺である。前者は例えば苦しい状況から逃れるための自殺で、後者は例えば即身成仏がそれに当たる。ショーペンハウアーは欲望は無限に…

2017/5/30

昨晩はスカイプ越しにクオリアがなぜ存在すると言えないのかを説明していたら4時になっていた。デネットが"Sweet Dreams"で述べていたことを簡単に言うと以下のようになる。例えばある写真を見ていてその一部が気づかないうちに変化しているとする。その時…

2017/5/29

「私」は魂ではなく脳が紡ぎ出す物語の主語である。デネットはこのような「物語的重力の中心」としての自己という思想を『解明される意識』という本で述べていた。今期放送している「Re:CREATORS」というアニメでは物語の登場人物、「被造物」が作者たちの世…

2017/5/26

「人間とは何か」という問いを最近忘れていた気がする。高校生くらいの頃はよく考えていて、生物種としての人間は遺伝的情報によって定義されると思っていた。デネットは"Darwin's Dangerous Idea"でダーウィニズムは生物種がその種の「本質」によって定義さ…

2017/5/25

デネットの"Sweet Dreams"を読み終わった。最後の方の章では意識の「名声」モデルに追加して「反響」というモデルがクローズアップされる。意識は単に現れたものの名声によって構成されるのではなく、それら現れが反響することによって構成される。これは具…

2017/5/24

大学院の講義でクワインの話があったので聞いていたら気づいたことがあった。道徳の実在論/反実在論の論争に卒業論文で触れたのだが、どうして還元主義的な説明が道徳反実在論につながるのか、さらに言えば道徳を還元しないならなぜ実在論をとることになるの…

2017/5/23

セラーズの"Science, Perception, and Reality"というか"Philosophy and the Scientific Image of Man"を読んでいると原始的な世界観"original image"が洗練されていって"manifest image"が形成されるという話が出てくる。"original image"においては自然界…

2017/5/22

デネットの"Sweet Dreams"を読んでいたら意識の「名声」モデルと言うものが登場した。主に脳内のデーモンたちの間の競合という観点から述べられていたが、これを意識の内容という点から見ればハイデガー的な「開示性」とリンクするモデルだと思う。意識にの…

2017/5/21

出席しているカントの純粋理性批判を読む演習で前回の講義まとめを作る担当が回ってきたので書いていた。90分の講義の全体を網羅しようとすると3000字くらいになって結構タイヘンである。まあそれはいいとして、そのまとめに新しく因果系列を始めることので…

2017/5/20

『聲の形』のブルーレイが届いたので見ていた。今回気づいたこととして、振動としての音が作中で割と意識的に使われているという点がある。例えば高校生になった将也が硝子に初めて会いに行くシーンでは手すりに触れた時に伝わる振動で硝子が将也の存在に気…

2017/5/18

"Sweet Dreams"を読んでいたら「メアリーの部屋」と「スワンプマン」の思考実験を組み合わせた「スワンプメアリー」というコンボ技が出てきて大笑いしてしまった。色を見ることについての物理的情報をすべて持っているが白黒のものしか見たことのないメアリ…

2017/5/17

最近以下のようなことを少し考えている。表象、クオリア、感覚与件などの非言語的な心的対象が存在するなら、それに対して非言語的な「私」があるということになる。デネットは「私」は人間の振る舞いを物語的に捉えた時の主語だと述べているが、これは純粋…

2017/5/16

昨日の話の続きだがセラーズの"Science, Perception, and Reality"をちらっと読むと以下のようなことが書いてある。 Let me refer to these two perspectives, respectively, as the manifest and the scientific images of man-in-the-world. And let me ex…

2017/5/15

デネットの"Sweet Dreams"を読んでいたら以下のような文章に出会った。 One of the themes about qualia that is often presupposed but seldom carefully discussed was memorably made explicit for me by Wilfrid Sellars, over a fine bottle of Chamber…

2017/5/14

デネットは"scientific image"と"manifest image"の仲立ちをすることが哲学の仕事だと考えているようだ。その中で具体的には"physical stance"と"design stance"をつなぐのが進化論、"design stance"と"intensional stance"をつなぐのが物理主義なのではない…

2017/5/13

デネットの"Sweet Dreams"を読んでいる。第1章は哲学的ゾンビの思考実験を生み出す「ゾンビ的直感」、第2章は"Consciousness Explained"でも登場していた「ヘテロ現象学」について考察が深められていた。"Consciousness Explained"を読んだ時はこのヘテロ…

2017/5/12

少し前から気になっていることとして"manifest image"と"scientific image"をいかに区別するのかという問題がある。確かに明らかにどちらかに属しているとしか思えない言明は存在しているが、同時にどちらとも言えなさそうなものもある。例えば重力と言った…

2017/5/11

"Content and Consciousness Revisited"というデネットに関する論文集を読んだり読まなかったりしている。Felipe De Brigardの"What Was I Thinking? Dennett’s Content and Consciousness and the Reality of Propositional Attitudes"を読んでいて、「民間…

2017/5/10

長谷敏司の『BEATLESS』を人に勧めて感想を尋ねるという悪趣味なことをやっている。ラストシーンでは今まで知っていたレイシアと連続性がないことが明らかな、「カタチ」だけ同じな新しい機体に対して以前と同じ感情を持てるかということが問われている。主…

2017/5/9

昨晩から頭が痛かったりする上に准教授が体調不良で休講になったりするので本日はお休みということにして午前中は延々寝たり、そのあとは延々アニメを見たりしていた。アニメを見てその感想をインターネットで検索するとアニメキャラクターに嫉妬していると…

2017/5/8

ようやく"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"を読み終えた。最終章では機械学習、そして将来見つかる(と筆者は信じている)Master Algorithmによってどう社会が変わっていくか、そこで何をすべ…

2017/5/6

"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"の第9章を読んだ。これまで登場した機械学習の手法が最適化手法、評価、表現(?)という三つの観点から整理されてそれらの統一が試みられている。問題とな…

2017/5/5

昨日と今日で"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"の第7章と8章を読んでいる。7章ではアナロジーによる学習(サポートベクターマシンとか)、8章では強化学習について解説されていた。この辺…

2017/5/3

"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"の第6章を読んだ。ベイズ推定を用いたあれこれが紹介されている。ベイズ推定はデネットが言及していたがよくわからなかったので読みたい部分であった。ベイ…

2017/5/2

早稲田大学が実学を重視するという方針を打ち出したか何かの記事で「アカデミックな教育課程に偏りがちな大学を変革し、産業界が求める「即戦力」となる人材を育てるのが狙い。」という文を読んでなかなか名文だと思った。このような「実学」を「虚学」とい…

2017/5/1

今日は"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"の第5章を読んだ。この章では遺伝的アルゴリズムを使った機械学習について解説されている。ボールドウィン効果が適応度の勾配を緩やかにすると言った…

2017/4/30

今日は"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"の第4章を読んだ。コネクショニズム、つまりニューラルネットによる機械学習の歴史が概説されている。あまり細部には興味がないけどディープラーニン…

2017/4/29

"The Master Algorithm: How the Quest for the Ultimate Learning Machine Will Remake Our World"の第3章を読んだ。ヒュームの帰納法批判の上で帰納的な「学習」を研究する意義とか、データを元に記号主義的な推論を形成する手法が書かれている。哲学をや…