2017/7/24

ニーチェ『道徳の系譜』『禁欲主義的理想は何を意味するか』を読んでいる。ニーチェのいう「反感(ルサンチマン)」はどうやらショーペンハウアーの「否定意志」(=「禁欲主義的理想」)を指しているのらしいという発見があった。その上でこの禁欲主義的理…

2017/7/21

研究発表のスライドを作るのが大変で気晴らしにまた『道徳の系譜』を読んでいた。今日読んだのは第二論文『「負い目」・「良心の疚しさ」・その他』である。第二節では風習や道徳によって人間が「算定しうべきものにされた」と述べられている。これは恐らく…

2017/7/20

『道徳の系譜』の『「善と悪」・「よいとわるい」』を読み終わった。いろいろな部分が本当に面白いのだが、哲学的に興味深かったのは13節だった。ニーチェの形而上学的には「力への意志」=ここでいう「作用」があるだけだから、「作用主体」というものはフ…

2017/7/19

大学生協の本屋で文庫本を3冊以上買うと15%オフになるセールをやっていたので『正解するマド』『パイドン』『道徳の系譜』を買って『道徳の系譜』をちょろっと読んでいた。とりあえずショーペンハウアーの批判があって面白い。ニーチェ曰くショーペンハウア…

2017/7/18

統計と因果関係のレポートはなんとかやり終えて研究発表の準備の方に戻っている。「アナログ」と「デジタル」という語について考えていたが「連続的」「離散的」と訳した方がわかりやすい気がしてきている。単に英語を日本語に置き換えただけでわかりやすい…

2017/7/17

次から次へと課題がやってきて、統計と因果関係についてレポートを書いている。因果関係というものについて、私の基本的な見解はショーペンハウアーの(つまり簡素化したカントの)もので、世界に対して人間の悟性が投げ入れるものだというものである。私た…

2017/7/15

5ヶ月ぶりに『幻想再帰のアリュージョニスト』が更新されるめでたい日となった。今回も呪術による現実の改変という定番の手法が用いられている。 つまり――ゼドははじめから『黄金』位のコーデを所有するアイドルだった。 衝撃の事実に凍り付くミルーニャたち…

2017/7/14

Mooreの"External and Internal Relations"の要約がようやく一通り終わった。とにかく文章がややこしいということ何度か述べたが、極め付けの一文を以下に引用する。 And it will also follow that any such property is grounded in the qualities which th…

2017/7/13

今日もまたMooreの"External and Internal Relations"を要約している。後半の形式論理が出てくるあたりが初読ではちんぷんかんぷんだったのだが、二回目読んでみるとなんだかわかる気がする。特に肝となる証明の部分も、様相論理を使って表現し直してみると…

2017/7/11

統計と因果の講義で因果グラフ理論が紹介されて、そこでマルコフネットワーク的なものが登場した。少し前に機械学習の本でマルコフネットワークのモンテカルロ法を用いた学習の話題があったので、なんでも役立つものだなあという気持ちがする。統計的に集め…

2017/7/6

インターネットで規範や政治的な正しさなどを他者に要求している人のモチベーションがよくわからない。ここでは道徳的な「〜すべき」という言明は、同じ規範を共有することでゲーム理論的な社会の全体利益を得るためのものだと考える。その場合同じゲーム、…

2017/7/5

大学に行ったり寝たりしていたら1日が終わったので大学でのことを書く。カントの『純粋理性批判』の購読演習をとっていて、今は「純粋理性の誤謬推理」あたりを読んでいる。"ich denke"="cogito"つまり「私は考える」という命題が、カント以前の形而上学の…

2017/7/4

今日も引き続きMooreの"External and Internal Relations"を読んでいる。内容というか文章の話になるが、単語としてはそこまで難しいものが使われているわけではないのに対して文章がかなり複雑で難しい。例えば"I think"の副詞節がやたら入ったり関係代名詞…

2017/7/3

講義の課題でG.E. Mooreの"External and Internal Relations"という論文読んでいる。まだ冒頭だけだが、関係(Relation)が事物に内在するのか外在するのかということが議論されている。外在するという立場では例えば「父親であること」という関係がA、Bとい…

2017/7/2

理論的対象の実在性というか、存在論的コミットメントが存在論なのかどうかについて考えていた。理屈の上では例えば物理的な対象が実在しなくても物理学は理論としてはうまくいくだろう。理論上措定されることが実在することとイコールではないような気がす…

2017/7/1

Fate/Grand Orderというソーシャルゲームを熱心にプレイしている。「アガルタの女」と言うストーリーが配信されて、個人的にはすごくいいと思ったのでいろいろ書いておきたい。まず最初に印象的だったのは、アガルタという空想上の場所に不夜城などの空想上…

2017/6/30

研究室でのフッサールについての発表を聞いていたら、現象的な現れから超越的(客観的)な対象を構築するという話が出ていて面白かった。現れは視点に相対的で、対象を様々な角度から見たときそれぞれの時点で別々の見え方をする。そのような現れから客観的…

2017/6/29

研究室の先輩のマルブランシュの最善世界説についての論文を読んでいて、なんだかモヤモヤする。神による最善世界の創造プロセスを厳密に分析するという内容で非常にロジカルで素晴らしいのだが、結局何を目的としているのかわからない。神による世界創造を…

2017/6/27

研究発表のためにいろいろ書いていたら、なぜか世界そのものの認識というところが問題となってきた。例えば個別の対象の認識の総和として世界が考えられるかどうかは一つの問題である。ひとつのシステムを理解するためにはその構成要素を個別に理解するだけ…

2017/6/26

デネットの「会話ストッパー」としての道徳という考え方が気になっている。"Darwin's Dangerous Idea"では以下のように述べられている。 Now, how shall we avert a cacophony of colleagues? We need some conversation-stoppers. In addition to our timel…

2017/6/25

ケン・リュウの『母の記憶に』に収録されている「パーフェクト・マッチ」という短編が面白かった。生活を支援するAI(「ティリー」)による支配に争うという形式のよくあるディストピアSFだがティリーが機械学習を用いていたりして最近の感じになっている。…

2017/6/22

デネットの"Real Patterns"の残っていた部分を読み終わった。パターンを全て物理的に説明するのではなく"intentional stance"を採用する理由やフォーダーやチャーチランドの立場を取らない理由が述べられている。特に確認したかったのが"intentional stance"…

2017/6/21

デネットの"Real Patterns"という論文を読んでいる。パターン認識という形で三つの"stance"を見出すこととそのパターンの実在性が議論されている。ライフゲームの例は様々なところで登場していたが、物理、デザイン、志向性という三つの"stance"をスケールに…

2017/6/20

セラーズの"Philosophy and Scientific Image of Man"をなんとか読み終わった。最終セクションの"Putting Man into the Scientific Image"が全然わからない。もうちょっと全編通して一貫して読んでみる必要があると思う。 It follows that to recognize a fe…

2017/6/19

"Sex and Death"を最終章まで読み終わった。最終章では"universal biology"つまりは「生命」とは何かという問題が扱われている。特にコンピューター上でシミュレートされる人工生命の話が面白かった。「強いAI」の話題と同じように「強い人工生命」の擁護者…

2017/6/17

今日は"Sex and Death"の13章を読んだ。ここでは社会生物学や進化心理学といった、ダーウィニズムの応用的な話題が扱われている。行動主義心理学において自然選択を考えると振る舞いのレベルでの進化に焦点が当たる。しかし選択される振る舞いを同定するのは…

2017/6/16

今日もまた"Sex and Death"を呼んでいた。12章はグールドの大量絶滅を例とした進化のプロセスは適応より偶然によるものだという主張が検討されていた。適応主義者が進化をすべて必然のプロセスであると考えているわけではないことは明白であり、いわゆる藁人…

2017/6/14

"Sex and Death"の今日読んだ第11章では生態学と進化論の関係が「ニッチ」という観点から考察されていた。結局のところニッチというものはある生物の生存や繁栄に関わる様々な次元からなる空間上に設定されるもので、生物から独立の抽象的なニッチが存在する…

2017/6/13

今日もまたSellarsの"Science, Perception, and Reality"を数パラグラフだけ読んでいたら、感覚を脳神経の働きに還元することと感覚対象を物理的な「見えない」原子などの集合体に還元することは同じ問題だという論点があって面白かった。前者は批判されて後…

2017/6/12

Sellarsの"Science, Perception, and Reality"をチラチラっと読んでいたら面白い一節を見つけた。 It is no accident that when a novelist wishes to represent what is going on in the mind of a person, he does so by “quoting” the person’s thoughts …

2017/6/11

今日も"Sex and Death"を読んでいて、第10章ではいわゆる"adaptationism"と呼ばれる立場の是非が検討されていた。Godfrey-Smithによると"adaptationism"には"empirical adaptationism""explanatory adaptationism""methodological adaptationism"の三種類が…

2017/6/10

今日も"sex and Death"を読んでいたがグールドによる"adaptationism"批判というのがメインテーマだったのであまり書きたいことはない。ところで最近Netflixに加入して「リトルウィッチアカデミア」を見ている。まだ最後まで放送されていないので確定的なこと…

2017/6/9

今日は"Sex and Death"の第9章まで読み終わった。第9章では種のレベルでの選択についての議論が扱われている。ドーキンスに感化されて進化論を学び始めてそこからデネットに行った人間としてはあまり群淘汰とか種淘汰に同意する気持ちはなかった。個体のレベ…

2017/6/8

今日も"Sex and Death"を読んでいたら「種」の定義が話題になっていた。デネットはダーウィニズムを"essentialism"の否定だといって生物に内在的な「種族」という属性がついているという考え方を否定していた。"Sex and Death"でもこの筋の主張は認めつつ、…

2017/6/6

今日受けた講義と読んでいた"Sex and Death"で同時に「シンプソンのパラドックス」というものが登場したのでオオッとなった。簡単に言うと個々の部分では変数同士に正の相関があったとしても全体で見るとその変数同士に負の相関があったりすることを言う。"S…

2017/6/5

「超越」というのは一つのテクニカルタームなのだが、最近その意味がわかってきた気がする。哲学の文脈で超越したものというとき、それは何ものか、例えば認識の可能性の限界を超えているもののことを指す。その事について、ここ最近よく考えるのが言語を超…

2017/6/4

今日も"Sex and Death"を読んでいた。今日読んだ6章7章ではメンデル遺伝学を分子遺伝学に還元できるのかどうかという話題が扱われている。還元主義というものがかなり広い科学哲学的な視野から議論されていたので哲学的にも面白かった。特にそもそもなぜ還元…

2017/6/3

今日も"Sex and Death"を読んでいる。今日読んだ部分ではそもそも遺伝子とは何か、DNAだけが遺伝情報を伝達しているのかといった問題が扱われていた。まず前者について、複製の単位として遺伝子を定義するとその表現型との対応付けが難しくなり、反対に表現…

2017/6/2

准教授に勧められた"Sex and Death: An Introduction to Philosophy of Biology"という本を読んでいる。今日読んだ部分ではドーキンスのいう"延長された表現型"が話題となっていた。この話題を見るたびに思うが、人間について"延長された表現型"というときそ…

2017/6/1

一周回って哲学をすることは人生にとって有用なのではないかという気持ちになっている。ある程度様々な哲学思想に触れておくと、新しい思想が侵入に入ってきた時それを相対化して考えることができる。思想は危険だ。思想は初め意識的思考に作用するだけだが…

2017/5/31

ショーペンハウアーは自殺には二種類あるという。一つは欲望に従った自殺で、もう一つは欲望がすべて消えた結果としての自殺である。前者は例えば苦しい状況から逃れるための自殺で、後者は例えば即身成仏がそれに当たる。ショーペンハウアーは欲望は無限に…

2017/5/30

昨晩はスカイプ越しにクオリアがなぜ存在すると言えないのかを説明していたら4時になっていた。デネットが"Sweet Dreams"で述べていたことを簡単に言うと以下のようになる。例えばある写真を見ていてその一部が気づかないうちに変化しているとする。その時…

2017/5/29

「私」は魂ではなく脳が紡ぎ出す物語の主語である。デネットはこのような「物語的重力の中心」としての自己という思想を『解明される意識』という本で述べていた。今期放送している「Re:CREATORS」というアニメでは物語の登場人物、「被造物」が作者たちの世…

2017/5/26

「人間とは何か」という問いを最近忘れていた気がする。高校生くらいの頃はよく考えていて、生物種としての人間は遺伝的情報によって定義されると思っていた。デネットは"Darwin's Dangerous Idea"でダーウィニズムは生物種がその種の「本質」によって定義さ…

2017/5/25

デネットの"Sweet Dreams"を読み終わった。最後の方の章では意識の「名声」モデルに追加して「反響」というモデルがクローズアップされる。意識は単に現れたものの名声によって構成されるのではなく、それら現れが反響することによって構成される。これは具…

2017/5/24

大学院の講義でクワインの話があったので聞いていたら気づいたことがあった。道徳の実在論/反実在論の論争に卒業論文で触れたのだが、どうして還元主義的な説明が道徳反実在論につながるのか、さらに言えば道徳を還元しないならなぜ実在論をとることになるの…

2017/5/23

セラーズの"Science, Perception, and Reality"というか"Philosophy and the Scientific Image of Man"を読んでいると原始的な世界観"original image"が洗練されていって"manifest image"が形成されるという話が出てくる。"original image"においては自然界…

2017/5/22

デネットの"Sweet Dreams"を読んでいたら意識の「名声」モデルと言うものが登場した。主に脳内のデーモンたちの間の競合という観点から述べられていたが、これを意識の内容という点から見ればハイデガー的な「開示性」とリンクするモデルだと思う。意識にの…

2017/5/21

出席しているカントの純粋理性批判を読む演習で前回の講義まとめを作る担当が回ってきたので書いていた。90分の講義の全体を網羅しようとすると3000字くらいになって結構タイヘンである。まあそれはいいとして、そのまとめに新しく因果系列を始めることので…

2017/5/20

『聲の形』のブルーレイが届いたので見ていた。今回気づいたこととして、振動としての音が作中で割と意識的に使われているという点がある。例えば高校生になった将也が硝子に初めて会いに行くシーンでは手すりに触れた時に伝わる振動で硝子が将也の存在に気…